リスペクトで、現場は強くなる。~塩形さんが実践する、信頼を軸にした現場づくり~|社員インタビューvol.1

三建を支えるプロフェッショナル

2025.10.04

リスペクトで、現場は強くなる。~塩形さんが実践する、信頼を軸にした現場づくり~|社員インタビューvol.1

リスペクトで、現場は強くなる。~塩形さんが実践する、信頼を軸にした現場づくり~|社員インタビューvol.1

現場を動かす「見えない力」

建築現場は、設計者、大工、電気工事士、水道設備士、塗装職人、内装業者など、多様な専門家が集まり、一つの目的に向かって作業を進める場所。
その日ごとに作業内容や関わる職人も変わる中で、工程通りに高品質な建物を完成させるためには、単に「腕のいい職人を集める」だけでは足りない。


株式会社三建で現場管理を担当する塩形さんは、その鍵を「リスペクト」という言葉で表現する。


「技術や経験はもちろん大事です。でも、それを最大限に発揮できる環境をつくるのは、人と人の関係性です。」


現場をまとめる立場として日々心がけているのは、上下関係ではなく、横の関係でチームを動かすことだ。それが、現場の質とスピード、そして雰囲気を大きく変える。

下請けではなく「パートナー」という呼び方


建築業界では、施工協力業者を「下請け」と呼ぶことが一般的だ。

だが、塩形さんはあえて「パートナー」という呼び方を使う。そこには3つの理由がある。

上下関係の意識をなくすため
言葉には力がある。「下請け」と言えば無意識に上下関係が前提になるが、「パートナー」と呼べば対等な立場が意識される。

意見を出しやすくするため
対等な関係性があれば、職人からの提案が出やすくなる。施工方法の改善や安全面の工夫は、現場でしか見えない情報だ。

同じ目的を共有するため
目的は「工事を終わらせる」ことではなく、「お客様に喜ばれる家を完成させる」こと。その意識を呼び方で示す。

この呼び方を使い始めてから、現場には少しずつ変化が生まれた。
ある配管工事の現場では、職人から「このルートなら将来のメンテナンスが楽になりますよ」との提案があった。
図面通りなら1時間短縮できたが、塩形さんはその提案を採用。結果、10年後20年後に施主が困らない家づくりにつなげたい想いがあるのは営業担当も設計担当だけでなく職人もおなじ。
この想いを形にするのが現場監督の重要な役割だと自負しているのだ。

意見を受け止める姿勢が信頼を生む


そういう現場では、様々な意見が飛び交う。
時にはスケジュールの遅れや工程変更で、感情的なやり取りになることもある。
 そんなときはまず「受け止める」ことを意識していると言う。
「受け止めるのは同意することとは違います。否定せず最後まで聞く、それだけで相手の態度は変わります。」
この姿勢は、一朝一夕で身につくものではない。
「まず相手の話を遮らない」——
これを徹底するだけでも、現場の空気は変わる。結果として、職人同士の連携がスムーズになり、手戻りやクレームの防止にもつながる。

小さな習慣が大きな成果を生む


リスペクトを形にするのは、特別なイベントや大掛かりな施策ではない。
塩形さんが徹底しているのは、次の3つの習慣だ。


自分から挨拶をする
忙しい朝ほど、先に声をかける。「おはようございます」の一言が、作業開始前の空気を和らげる。

笑顔を忘れない
難しい状況ほど笑顔を見せることで、現場全体が落ち着く。笑顔は指示を受け入れやすくする効果もある。

感謝を言葉にする
「助かりました」「ありがとうございます」を日常的に伝える。これが自然にできる現場は、作業のスピードも質も高い。


これらの行動は単純だが、続けるのは難しい。だからこそ続ける意味がある、と塩形さんは言う。

自分から変わることの効果



「人を変えるのは難しい。でも、自分が変われば、相手は自然に変わる。」

塩形さんは、この原則を信じている。


ある現場では、当初ほとんど会話をしなかった職人が、塩形さんの毎日の挨拶や感謝の言葉を受け、少しずつ笑顔を見せるようになった。
半年後、その職人は自ら後輩に作業を教えるようになり、チーム全体の雰囲気が一変した事を確実に感じたという。
自分が変われば、周りが変わる。周りが変われば、会社がさらによくなる。
塩形さんはプロフェッサー集団としての歩みを止めない覚悟を話しぶりから感じとれる。

感謝を軸にした価値観


塩形さんが作業服や私服に「ありがとう」の文字をあしらうのは、単なるデザインではない。

それは、自分の価値観を常に思い出すための仕掛けだ。

「感謝を忘れない。それが自分のベースです。」

この姿勢は、現場の仲間だけでなく、施主や家そのものにも向けられている。

完成した家を引き渡す瞬間、塩方さんは「この家をつくれたことに感謝します」と心の中でつぶやくという。

10年後のビジョンと現場文化の継承

10年後、自分を「誰から見てもプロ」と認められる存在にしたいと語る。
そのプロ像は、技術力だけでなく、リーダーシップや人間関係の構築力を兼ね備えた総合的な力を持つ人物だ。
そのためには、自らの姿勢を後輩や仲間に伝え、現場文化として継承していくことが不可欠だと考えている。

建築現場で求められるのは、専門知識や体力だけではない。
チームで動く以上、人間関係の構築力が成果に直結する。


「仲間をリスペクトできる人は、どんな現場でも必要とされます。」
家づくりは、図面や仕様書だけでは測れない部分が多い。現場の人間関係が良好であれば、細部まで丁寧な施工が行われ、将来のメンテナンス性も高くなる。
リスペクトを土台にした現場は、結果として安心して長く暮らせる家を生み出す。

リスペクトは現場を強くする


塩形さんの実践は、現場における「人間関係の質」が、そのまま成果物の質に影響することを証明している。

呼び方一つ、挨拶一つ、感謝の言葉一つ。
それらが積み重なって現場の空気を変え、結果として家づくりの価値を高める。
現場を変える第一歩は、自分から変わること。

リスペクトは、その一歩を踏み出すための最もシンプルで、最も強い武器なのかもしれない。