三建を支えるプロフェッショナル

2026.02.10

健康という視点から見つめなおす、住まいと暮らし【旭化成建材 × SANKEN】vol.3 前編

健康という視点から見つめなおす、住まいと暮らし【旭化成建材 × SANKEN】vol.3 前編

「2050 STANDARD HOUSE」をブランドミッションに掲げ、高性能な家づくりに取り組むSANKEN ARCHITECTS。
私たちは播磨地域を牽引すべく、日々商品の開発に挑戦しています。
この連載コラムでは“SANKEN ARCHITECTSで採用している建材”を起点に、
住宅業界の「性能」や「これからの家づくり」について、各メーカーの方々と語り合っていきます。


今回は、断熱材「ネオマフォーム」を展開する旭化成建材株式会社
前編では、断熱性能がもたらす「健康」の側面について、断熱事業部の大塚氏にお話を伺いました。
“快適”のその先にある、“健康”というテーマ。
なぜ、室温が変わるだけで体の負担が減るのか──。
そこには、建材メーカーが長年追い続けてきた「科学的な裏付け」と「暮らしへのまなざし」がありました。
 私たちの暮らしと“室温”が、どれほど深く関わっているのかを紐解きます。

室温と健康は、想像以上に密接な関係にある


私たちは「家を建てる」と聞くと、まずデザインや間取り、性能やコストを思い浮かべます。
けれど、少し立ち止まって考えてみると、「健康」という視点から住まいを見つめ直す機会は、意外と少ないのではないでしょうか。


「健康という言葉を住宅に当てはめると、まず“ヒートショック”が思い浮かびますよね。」


そう切り出すと、大塚氏は頷きながらこう続けました。


「実は、ヒートショックや熱中症、低体温――どれも“温度差”や“室温”が深く関係しています。つまり健康の基本は、暮らしの温度をどう保つか、に尽きるんです。」


冬場、暖かいリビングから寒い脱衣所へ移動した際に起こる血圧変動。
あるいは、真夏の夜に寝苦しさから眠れず、翌朝に体調を崩す経験。
どちらも「温熱環境の不安定さ」が生む、身体へのストレスです。
この「温度差」をなくすために、断熱性能は欠かせません。
壁・天井・床といった建物の“外皮”がしっかり断熱されていれば、室内の表面温度が均一になり、体が感じる「寒さ」「暑さ」が軽減されます。





体感温度は「室温+表面温度」


快適な住まいを考えるうえで、「室温」と同じくらい大切なのが“表面温度”です。
床・壁・天井など、周囲の面の温度が低いと、空気が暖かくても人は寒く感じてしまう。
「人の体感温度は、“(室温+表面温度)÷2”に近いといわれています。床暖房が心地よいのは、表面温度が高いため、体が暖かく感じるからなんです。」
つまり、室温だけでなく、家の“肌触り”を整えることが、健康的な快適さをつくる鍵になります。
三建が採用している“完全外断熱工法”のように壁全体を包み込む工法は、この表面温度を安定させるうえで非常に効果的。
住宅の熱橋にまで拘り、見えない部分で「体感の快適」を支えています。





季節ごとに異なる「快適の焦点」


夏と冬では、快適さの条件が少し異なります。
夏は屋根や天井からの放射熱が大きく影響し、冬は床からの冷えが不快感の原因に。
「昔から“頭寒足熱”という言葉があります。夏は頭を涼しく、冬は足元を暖かく――その理想をつくるのが断熱です。」
つまり、断熱の目的は「冬を暖かくする」だけではなく、「夏を涼しくする」ことにも直結しています。
屋根・壁・床、それぞれの温度差を減らすことが、健康的な住環境への第一歩なのです。





ネオマの家が作り出す“温度差±1℃”の家


旭化成建材が手がける「ネオマの家」では、実際に全館の温度を測定。
その結果、家全体の温度差が±1℃以内に収まるというデータが得られています。


「これは、断熱・気密・換気・日射取得・冷暖房計画をすべて組み合わせて設計しているからこそ実現できる性能です。」
温度差の少ない家は、ヒートショックなどのリスクを大幅に減らします。
加えて、WHO(世界保健機関)では“室温18℃以上”を健康的な最低基準と定めています。
英国の保健省はさらに“21℃以上”を推奨。
18℃を下回る環境では、呼吸器・循環器系の疾患リスクが高まるとも報告されています。
「つまり“あたたかい家”は、省エネだけでなく、健康のために必要なインフラなんです。」





睡眠と自律神経にも、断熱は影響する


面白いのは、断熱性能が“睡眠の質”にも関係しているという研究結果です。
旭化成建材では、温熱環境と睡眠時間・自律神経の関係を実証実験で分析中とのこと。
「温熱環境の整った家で眠る人のほうが、睡眠時間が長くなるというデータが出ています」
これは、高齢者だけでなく若年層にも共通の傾向。
冷えや温度差による“体の緊張”が少ないことで、自律神経の乱れが抑えられ、結果的に快適な睡眠につながると考えられています。
若い世代ほど「健康」を実感しにくいものですが、 見えないストレスを減らす“空間の整え方”は、長い人生のなかで確実に差を生む。
家を建てるという選択は、未来の自分への“健康投資”でもあるのです。





CO₂濃度という新たな指標


三建では温度・湿度・気流・表面温度に加えて、注目している「CO₂濃度」。
これは換気状態を示す数値で、1000ppmを超えると眠気や集中力の低下を引き起こします。
「オフィスビルでは『ビル管理法』で1000ppm以下を基準としています。住宅でも、この水準を保つのが理想です。」
最近では、手軽にCO₂濃度を測れるセンサーも登場しています。
数値を“見える化”することで、暮らしの質を自ら整える意識が高まる。
それもまた「健康な住まい」の一部だといえるでしょう。





“健康寿命”を伸ばす住まいとは


医療や食事だけでなく、「住環境」もまた健康寿命に直結する要素です。
暖かく、温度差のない家に住むことで、血圧変動や睡眠障害、免疫低下といったリスクが減る。
その結果、医療費の抑制にもつながるという研究もあります。



「健康に長く暮らせる家は、結果的に経済的にも優しい家になるんです。」


家は“人生の器”。
その器が身体を守り、整えてくれる存在であれば、私たちはもっと穏やかに、前向きに日々を過ごせる。






健康とは、薬や運動だけでつくるものではありません。
私たちが一日の大半を過ごす「住まい」そのものが、健康を左右する。
断熱・気密・換気といった“性能”は、単なる数字や仕様ではなく、
「家族が心地よく、長く生きていける環境」を支える基盤です。
次回は、そんな“健康な住まい”の中での“快適さ”について深掘り、かいてきなすまい方とは何か?ということについて、旭化成建材と深掘りしていきます。