三建は、「2050 STANDARD HOUSE」を指針に、環境性能と暮らしの質を兼ね備えた高性能住宅の提供を目指し、加古川を中心に播磨地域で家づくりに取り組んでいます。
2050年という未来を見据えながら、地域の気候や風土に根ざした住まいの在り方を探求し、持続可能で豊かな暮らしをこの地に広げていくことが私たちの使命です。
本コラムでは、そんな私たちが日々の活動の中で出会う、地域に根ざしながらも未来を見据え、挑戦を続けるさまざまな業界や企業の取り組みにスポットを当て、播磨の地で育まれる新しい価値や可能性を、皆さまにご紹介していきます。
はじめに

兵庫県を拠点に、それぞれ異なるフィールドで確かな存在感を放つ企業——六甲バター株式会社と株式会社三建。
「Q・B・Bチーズ」で広く知られる六甲バターは“食”の視点から、そして高性能住宅「2050STANDARD HOUSE」を掲げる三建は“住”の観点から、それぞれ人々の暮らしを支えています。
今回の対談では、両社が培ってきた歴史や地域との関係性、そして兵庫という土地から生まれる独自の価値についてお話いただきました。業種は異なれど、“暮らし”というキーワードでつながる両社の対話から、これからの地域づくりのヒントを探ります。
01|創業の想いと歩んできた道

六甲バターは1948年、農林省指定のマーガリン製造工場として兵庫で創業。
戦後の混乱のなか、創業者が掲げたのは「“食”で日本の復興を支えたい」という想い。その後1958年にはプロセスチーズの生産を開始し、日本の環境や味覚に合ったチーズづくりを追求してきたそうです。
さらに、世界初のスティックチーズ(1960年)、日本初の個包装スライスチーズ(1971年)など、時代のニーズを先取りする商品を数々生み出してきました。中でも「Q・B・Bベビーチーズ」は今や年間2億本を超えるロングセラーとなっています。
02|変わらぬ理念、進化する姿勢
六甲バターが創業以来大切にしているのは「健康で、明るく、楽しい食文化の提供を通じて社会に貢献する」という理念です。時代が移り変わっても“食を通じた豊かさを届けたい”という想いは変わらない、と担当者は語っていました。
近年は「新しい食べ方」「新しい味」「新しいシーン」といった食の可能性を広げる挑戦を続けています。特にサステナブルな選択肢として「チーズ代替植物性食品」の開発にも力を入れており、食の未来を見据えた姿勢が印象的でした。
私たち三建もまた、“暮らしの根幹”である住まいを通じて、人々の命や時間、そして未来を守る家づくりを続けています。
03|暮らしに寄り添う、という
Q・B・Bチーズは朝食やおやつ、給食や外食産業など、あらゆる場面で親しまれています。「小さな頃に食べていたチーズを、今は自分の子どもにも食べさせたい」という声が寄せられることが、六甲バターにとって何よりの喜びだそうです。暮らしに自然に溶け込む存在であることを誇りにされているのが伝わってきました。
住宅の分野でも、三建は「暮らしに寄り添う家」を目指し、パッシブデザインや高性能住宅の提案を通じて、家族の健康と快適さを支える住まいを提供しています。

04|“兵庫”という地域とのつながり
六甲バターは創業者が兵庫出身であることから、創業当初から本社を神戸に構えています。地域との結びつきを大切にし、「六甲山Q・B・Bチーズ館」や「神戸マラソン」への協賛、学校との連携など、多彩な活動を展開されています。
兵庫という文化や自然に恵まれた土地で培った価値観が、六甲バターのものづくりの根底に息づいている、と印象に残りました。
三建もまた、播磨エリアを中心に地域密着で事業を展開。地元の暮らしを支えるため、イベントや子育て支援などを通じて地域づくりに積極的に関わっています。
05|業種を超えた“共通点”

「衣・食・住」という、人の暮らしを支える本質的な領域に携わる点で、六甲バターと三建には共通点があると強く感じました。
そして、単なるモノの提供にとどまらず、その先にある笑顔や安心、団らんといった“目に見えない価値”を大切にする姿勢にも深い共感を覚えました。
06|未来への挑戦と可能性
六甲バターでは現在、植物性食品の開発に注力しています。
大阪・関西万博では「QBBこれもいいキッチン」というレストランを出店し、アレルギーや信条などでこれまでチーズを食べられなかった方々にも食の選択肢を広げているそうです。
常に時代の先を見据え、柔軟に変化へ対応する姿勢が「開発先導型活力企業」としての強みだと感じました。
三建も同じように、地球環境や家族の未来を意識した住まいづくりを続け、地域とともに歩む企業でありたいと考えています。
07|最後に──読者へのメッセージ
今回の対談を通じ、六甲バターが掲げる「健康で、明るく、楽しい食文化」という理念は、単に食品を届けるだけではなく、暮らし全体に寄り添う大きな価値を持っていることを実感しました。
同じ兵庫の地で、業種を超えて“暮らし”に取り組む二社。今後もお互いの強みを活かしながら、地域の未来に貢献していきたいと思います。